ヒストリック・オートモービル・フェスティバル 
「ポルシェ60周年」

in モテギ・サーキット


2008年10月26日

26 Oct  '08 in Motegi


朝方からわずかの雨がフロントガラスに当たりましたが、午後には雨も止むような予報でした。

モテギでは路面が小雨にぬれていましたが視界は良好でした。
気温は強い冷え込みではありませんが、さすがに半袖の服装では寒がっている方も見受けました。

パドックではポルシェ60周年にちなんで歴代のポルシェが展示されています。
 
歴代のポルシェの展示に356が欠かせないことは世界の常識ですが、今回は356クラブメンバーが全面協力して8台の356を展示いたしました。
いずれも各年代の356を代表するオリジナリティが高い車両たちです。

コンクールではないので皆さんは自走して雨に濡れてしまいましたが、欠場車がでるほどの大雨にならなかったのは幸いでした。
 
ここで出場した356たちを紹介いたします。
 
 
1953年 Pre-A 

この時代だけの大きな特徴としては

○中央が折れている前ガラスに合わせた屋根形状

○左右に開くワイパーアーム(54年からは並行式)

○前フードのハンドルの形状 

○バンパーガード(オーバーライダー)が太く短い

○ホーングリルの穴が無い(54年からグリル付)

などですがワイパーとホーングリル形状は年式を絞る決め手になります。

 
1955年 Pre-A スピードスター

1954年9月に発表され、エンジンタイプ・ミッションなどの変更点が数多くある時代で、外観からはこのくらい離れている写真では見分けが難しくなるのがスピードスターです

正確にはメーター周り、ペダル配置、エンジンを見ないといけません

○16インチタイヤとターボリング・ホイルキャップ

○ドアハンドル形状が角型(57年〜Aは丸い形)

○ウィンカーレンズの低い形状、ゴムの色とリムの刻印

○アフターパーツのサイドミラー(56年のドイツ法改正まではサイドミラー義務が無いので定番アイテム)

などですが、新車時の塗装色と細かい部品の違いを正確に再現している展示車だから判明する違いです。
テールランプは丸型4個(57年に柿の種形に変更)、ライセンス灯も上から照らすシャインダウン型です。

 
 
1959年 A クーペ・カブリオレ

外観では57年からテールランプが柿の種型に変更され、メーターやドアロックなども違いますが外観からの判断は難しいです。 エンジンは55,56,57,58,59年と毎年違うのですが。

室内ノブに黒色が登場(後期の一部のみ)
エアクリーナーはBタイプ共通の黒色もあります

59年は輸出先のUSA基準に合わせて外観変更があります

○カブリオレに付いている高いバンパーガード(59年のみ)

○前ウィンカーの高い形状

このウィンカータイプには57年前後に多くの変更があり正確なタイプを判断するのは難しい点があります。

米国の356レジストリーに変更点の記載がありますので詳しくは以下のリンクを参照してください。
http://www.356registry.org/tech/front_turn_signal_types.html
 
 
1961年 B T-5ボディ 1600スーパー90

USAの保安基準に合わせてバンパーの変更だけが目立ちますが、356エンジンの完成形はこの年式からで信頼性がとても高くなり、壊れにくくなっています。
カレラシリーズの生産が一時止まり、新型ヘッドを採用、ソレックス40を搭載したスーパー90(馬力)が356モデルの旗艦となりました

○バンパー位置が高くなり形状も変更

○フェンダーが変わり下にフォグ/ブレーキ冷却兼用グリルが付き上のホーングリルも変更

○フードハンドル形状が変更

○クーペにも三角窓が付く

○前ガラス、前フードはAタイプと同型です。

ダッシュパネルや見えない部分にとても多くの変更点があり、T-6ボディへの変更以前にほとんどの機械系が見直しされています。
この車は当時61年に日本に輸入されています。
 
 
1963 B T-6ボディ ロードスター 

356Aタイプのスピードスターは59年のコンバーチブルDを経由して、Bタイプからはロードスターと名前を変更しました。 ボディがT-5に変更になりサイドガラスが巻き上げ式になるなど、低コスト優先のスピードスターより豪華な装備が付くようになっています。
1962年にT-6ボディに変更になり最終型の1963年式ロードスターはわずか200台しか生産されなかったのでコレクターズアイテムとして世界的に有名な車種の一台です。

○カブリオレとの一番の違いは「脱着可能な」前ガラスのメッキされたフレームです。 スピードスターからの共通の約束アイテムで、簡単な形式のホロと同様にレース仕様への変更を考えたスポーツ感覚のある外観が大きく違います。

○T-6ボディから前フードのカドが角ばり、スペアタイヤの入替、バッテリーの脱着など整備制が向上しています。
 
1963 B T-6ボディ カレラ2

60年からのT-5ボディでカレラシリーズはレース専用車のみになりましたが一般公道用にもカレラが欲しいという声に答えてカレラ2リッターが販売されました。 当時のスーパーカーとしては格安という値段でしたが、日本で購入できるのはごく一部のオーナーだけでした。

○カレラBタイプ専用のインボードディスクブレーキで、特殊な部品を使用しています

○バンパーモール、前グリルのネット、革のストラップ以外には特別に見えない飾らない外装です

 
1964 C T-6ボディ  SC

1963年の7月からCタイプに変更されました。 T-6ボディはBと共通ですがダッシュパネル鉄板、メーターや燃料タンクなどの変更があり、運転席まわりは大きく違います。 さらに前フード裏のロックが変更であったりと、ポルシェは見えない部分にいつも大きな変更をしています。

○外観はT-6ボディBと共通

○Cタイプからディスクブレーキが採用され、ホイールキャップがディスク用の平らな形状になります。

○スーパー90とはシリンダヘッド形状を変更しカム、キャブの仕様を変更して95馬力のスーパーエンジンを搭載した車両をSCと命名しています。

○Bタイプでのスーパーエンジン75馬力を搭載した車種は単にCと呼ばれるので、形式はCタイプでも、エンジンはCとSCの二種類に分かれています。


 
会場内には生沢徹さんの記念館が設置され、たくさんの観客が訪れていました。

数多くのイベントがたくさんありましたが、こちらのパドックでは356クラブ専用テントが設置され、数多くの356関係者が訪ねていただき、広いテントが満席でとても忙しい状態になる時間帯もありと、曇り空ではありましたが暖かい交流を楽しみました。

クラブメンバーのレースも楽しく、毎年のように記念パレードがあればいいな、と感じた秋の日曜日でした。
主催者の方々には心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。

 




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